泣ける:-----
笑える:-----
深い :-----
規格外:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
背景
世界中のクリエイターに多大な影響を与えたSFアニメ映画。アニメ作品として史上初めてカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞している。ルネ・ラルー監督による1973年制作、フランス・チェコスロヴァキア合作。原作はステファン・ウルのSF小説『オム族がいっぱい』。
特筆① 独特の世界観が、規格外の傑作!
とにかく発想が#%&*@ !!
アニメのタッチ、独特の世界観、こんな作品が約50年も前に?、何の目的で?、しかも2つの国が共作して?、お金かけて?誕生したのか全てが謎。
淡々と続くストーリーが、淡々とおいら達凡人の思考のはるか上を飛んでいく。面白いとか、そういうジャンル?次元?を超えている。生きているうちに一度は見た方がいい作品。
特筆② 一度観たら忘れられない!
全身真っ青なドラーク族、生き物や植物の描写が衝撃的にキモく毒々しくて、なぜか美しい。ああ!一度観たら忘れられない。鮮烈なイメージを残されてしまった。
たぶん、どのシーンを切り取ってもアートとして成立する。
毒ガス兵器、人間のペット化、虫けらのように狩られていく様、その方法・・・。
これまで観た後続の作品に「あっこれ、この映画からインスピレーション得たんじゃない?」と思いあたるシーンがたくさん浮かぶ。なんか原点を見たな。
特筆③ 人間の愚かさ
どれもが規格外に感じる作品ではあるけど、その中で一貫して感じるのは、人間って愚かだなァってこと。
ディーバはテールを愛している。とても可愛がったのにテールは逃げてしまう。ペットとして支配する側の身勝手な、対等じゃない愛の愚かさを感じる。
テールが逃げた先の人間世界の人々の殆どは「野蛮人間」で、そんな奴らは要らないとばかりに、ドラーク族に大量虐殺されていく。。そして終盤ではドラーク族の弱みを知った人間が、躊躇なくドラーク族を虐殺。それはどちらにとっても正当な権利だとされるけど、自分都合でしか世界を見ることができない人間の愚かしさだ。
被害者側の人間の生きる糧は、ドラーク族から盗んだ戦利品。被害者の人間は、加害者のドラーク族から盗むことが当前の権利となっている。
最後は平和的解決に至るけど、その理由がお互いに弱みを持ったから。
そういった人間の野蛮さ、エゴ、支配欲、生き物を弄ぶといった愚かさが、それは良い悪いじゃなくて、人間が持つ性質なんだ、といわんばかりだった。
すごかった。。